−レッツ☆ウォー− 


ゆびきり★戦争(2007.6.14)

「……ゆ〜びき〜りげんまん……」
 のんびりとゲームなんかをしている昼下がり。遠くで子供が歌っているのが聞こえた。
 そういえば、幼馴染みでお隣さんの双葉もよくあの歌を歌っていた。子供の頃、双葉は誰かと約束することが好きだった。果たすことが好きだったのかもしれない。
「……嘘つ〜いたら……」
 二人共小学生だったあの頃、帰り道で毎日のように俺は聞いていた。明日も一緒に帰ろうとか、一緒に遊ぼうとか、他愛のない約束をするたびに双葉は歌う。
 あの頃の俺にも、今の俺にもあの歌は歌うことは出来ない。双葉だから歌うことが出来たあの歌。
「……は〜りせ〜んぼん……」
 
『―――いっちゃん、明日も遊んでね?』
『うん。学校が終わったら公園で』
『約束よ?』
『分かってる』
『じゃあ指切りげんまんね』

 夕焼けを背負った双葉の影が、俺の記憶の中で歌い始める。あの優しい声が、耳の中で甦ってくる。
「ゆ〜びき〜りげんまん、嘘つ〜いたらは〜りせ〜んぼん……」
 椅子に座って、いつの間にか俺は口ずさんでいた。だが、この先を俺は歌うことが出来ない。途切れた歌。頭の後ろに腕を組んで、窓の向こう、普段ならいる双葉を想う。
 記憶の中の双葉が、ニッコリ微笑んで歌い上げた。

『……は〜りせ〜んぼん、な〜まず。ゆ〜びきった!』

 ……嗚呼、ナマズよ、ハリセンボンと共に天誅を下せ。双葉との約束を違えた者の指を切り落とせ。

☆ 本日の試合結果。ゆびきり勝利。


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